フィリピンに海外移住したら、何かビジネスを始めようか・・。語学留学や現地の会社に就職が決まっている方以外は誰もが一度は考えることです。ある程度の蓄えがあれば、何もしないでも1、2年はゆっくり生活できるかも知れないのに、どうやら日本人は働かないと気がすまないようです。
そこで今回は、フィリピンでのビジネスの可能性や立ち上げる時にぜひ注意していただきたいことをご紹介したいと思います。
フィリピンで日本人が携わるビジネスの種類
ここでは、これまでフィリピンに海外移住した日本人が小資本でどんなビジネスをしてきたのかをご紹介します。
貸しアパート(ボーディングハウス)
結婚してフィリピンに海外移住されたかたにとっては割と取り組みやすいビジネスだと思います。
ちゃんとアパートのビルを建設しようと思えば、それなりのお金がかかりますが、昔の日本の下宿屋のように住宅兼貸し部屋(ボーディングハウス)のような形態であれば建設費用は500万円から600万円ぐらいでしょうか。
ビジネスのメリットとしては毎月決まった収入が見込めること。自分で管理人をするつもりであれば人を雇う必要がないことです。
ファーストフードの屋台
フィリピンはフード系のフランチャイズが多く、ショッピングモールのフードコートの中や商店街のスーパーマーケットの入り口などのスペースにフード系の屋台が軒を並べています。
種類はビザにたこ焼きにシュウマイなど、アイスクリームやソフトドリンクの屋台もあります。加盟金はさまざまですが、よっぽどメジャーなフランチャイズを狙わない限り100万円もあれば十分だと思います。
事業のメリットは場所が当たれば、かなりの利益が期待できることです。
食堂(キャンティーン)
フランチャイズのレストランはお金さえ払えば出店できますが、大型ショッピングモールの中などに出店するため、家賃や光熱費、人件費などの経費が大きくなり、飲食店経営のスキルがないとリスクが高すぎます。
そんなリスクをなるべく回避するために、商店街の中のテナントを借りて小さな食堂を経営される方もいらっしゃいます。
月に3万ぐらいの家賃で借りられるところもあり、家族ぐるみでやれば人件費もいりません。
もしも失敗してもそんなに痛手はないので現地の人と触れ合ったり、言葉を覚えたりするにはちょうどいいかも知れません。←(筆者体験談)
最初は日系企業で働く
いずれにしろ、フィリピンに海外移住していきなり、個人事業を始めるとリスクが高いことは否めません。
近年は4、5年前と違ってマニラ近郊に進出する日系企業も多く、それに伴い求人数も増加傾向にあります。
それに日本人には日本の給料の水準で支払う企業が多いのも魅力の一つです。まず、フィリピンの会社で働いて、新しい環境に慣れるというのも一つの手かも知れません。
日本の会社とネットビジネス
フィリピンに住みながら日本円を稼ぐという理想的なビジネスモデルです。しかも使う道具はインターネットに接続したパソコンだけ。
仕事はコンピュータプログラムからゲームソフト制作。スキルが必要ない分野では、記事作成代行、アフィリエイトなど多種多様です。
もちろん家賃や人件費などの経費もほとんど必要ありません。
そしてフィリピン在住者にとっての魅力は、仮に月2万円の報酬でもフィリピンペソに両替すると普通に1か月分の食事代ぐらいはなるということです。←(筆者体験談)
フィリピンでのビジネスの可能性について考える
フィリピンで個人事業を始め、ある程度成功された方の共通した意見は「フィリピンにはビジネスチャンスがたくさん埋まっている」と言うことです。その理由は
1、ビジネスのレベルが日本より数段低い
たとえばスーパーマーケットの店員はお客様に「ありがとう」をほとんど言いません。それどころかおつりを投げて渡す店員もいます。食堂だってそうです。「いらっしゃいませ」の言葉はありません。
こんな接客業の基本というべき挨拶さえできていないのです。しかし、考え方を変えれば他店と差別化を図るチャンスと捉えることもできます。
店内のポップ、看板デザイン、販促に関するアイデアなど、日本だったら当たり前に使われている販売テクニックがこの国ではどれも新鮮なのです。
2、仕事に対する意識が違う
これは民族性の違いなので、日本人の考え方を押し付けるわけにはいきませんが、フィリピン人は日本人のように働き者ではありません。
人を追い落としてまで1番になろうという考えの人が少ないのです。ですから、日本にいるつもりで努力すれば、成功する可能性が高いということです。
フィリピンでビジネスする時に注意してほしいこと
ここまで、良いことばかりお話してきましたが、フィリピンでビジネスする時にこれだけは注意してほしいことを最後にご紹介しておきましょう。
1、フィリピンでは外国人の名義で土地や家は買えません
つまり、名義はフィリピン人の配偶者かフィリピン人の“信頼できる”パートナーということになります。もしも事業に失敗したら・・・。賢明なみなさんにはこれだけでご理解いただけると思います。
2、お金は基本的に前払いで貰う
日本では請求書を出してクライアントに翌月振り込んでもらうというのはあたり前ですが、フィリピンではそれは通用しません。日本人のそんな習慣を利用してだます人もいるので注意が必要です。←(筆者体験談)
3、日本円とフィリピンペソの価値の違いに注意
たとえば、フィリピンに何かのお店を作る時、日本で作るのと同じ感覚でお金を使ったら失敗します。なぜなら、日本だと売上金は円ですが、フィリピンのお客様が払ってくれるのはフィリピンペソだからです。
たとえば満席15人程度の小さな食堂で1日8000ペソ売り上げるのは至難の業ですが、そのお金を日本円にかえたとするとたった2万円です。
これじゃいつまでたってもとは取れません。
フィリピンでビジネスをはじめるなら・・・
以上、今回はフィリピンのビジネスの可能性についてお話ししましたが、なんとなく雰囲気は掴んでいただけたでしょうか。とにかく独立開業は日本でやってもフィリピンでやっても失敗する可能性はあるということです。フィリピンで何かビジネスを、と考えている方は、ぜひ慎重に検討してからはじめるようにしてくださいね。
執筆者:ながとし(ペンネーム)
プロフィール:フィリピンのナガ市という地方都市の大学の近くで妻と二人で雑貨店と食堂を営んでいます。食堂のメニューは地元の学生に人気のカレーライスに親子どんぶり、焼肉定職と日本のB級グルメが中心。いつか彼らが日本に行った時、「あ、これ食べたことある!」と言ってくれるのが夢です。