ロシアは、残念ながら人種に対する差別や偏見が強い国だと思います。特にアジア人に対しては、偏見を持っている人が多く、時と場合によっては危険なこともあります。ロシアの人種差別や外国人排斥について、留学中に感じたことを書いておきます。
アジア人に対する軽視
ロシアは残念ながら、全体的に人種差別の強い国い方の国だと思います。
私自身は幸いなことにそんなに差別をされたことはなく、怖い経験もしたことはないのですが、しょっちゅう韓国人や中国人に間違えられ、「韓国人でしょ?」と聞かれたり、街中で通りすがりの人々に「ニイハオー」と声をかけられたりすることがありました。
一度だけ「オノ・ヨーコですか?」とからかわれたこともあります。私もそんなに不快な思いはしなかったですし、言っている本人たちも軽い冗談やちょっとしたいたずら心でそのように言ってくるのだとは思いますが、その背景には、やはり、アジア人や肌や髪の色が異なる人種に対する軽視もあるのではないかな、と思います。
私の友人は、警察官に中国人と間違えられ、パスポートの提示を求められたことがありました。ですが、「日本人」ということがわかるととても親切にしてくれたりします。
親日家が多いロシア
ロシアは親日家が多く、日本に対するイメージは「先進国」「経済大国」「大和撫子」など、プラスのイメージが多くあるようです。一方、中国人に対してはマイナスイメージを持つロシア人が多いように思います。
中国からは極東を中心に、どんどん中国人がロシアに移住してきています。彼らは主張が強く商売もうまいので、中国人に対する危機感が強いのでしょう。でも、人によっては韓国語や中国語を学んで留学生と仲良くするロシア人もいます。国際感覚を持ったロシア人は外国人を差別することはあまりないでしょう。
差別ではないけれど・・
差別とは違うかもしれませんが、日本人だと犯罪者に目をつけられやすくなります。
「日本人は金を持っている」というイメージがロシア人の中に定着しているので、派手な格好をしているとスリに逢いやすくなります。
留学生の知人でブランド品の服やバッグに身をまとった女の子が、初日にスリに逢って泣いていました。かわいそうですけれど、危機管理が不足していたかもしれません。
私は敢えてダサい服装で1年間を過ごしました。(ロシアの洗濯機事情も悪く、洗うほど服が黄ばんでいく・・というのも理由の一つでしたが。。)
若者の間で拡大する外国人排斥運動・ネオナチ
ロシアでは年に1度、外国人にとって緊張感の高まる時期があります。
それは4月20日、ナチス・ドイツを率いたアドルフ・ヒトラーの誕生日前後の時期です。この時期になるとスキンヘッド・グループと呼ばれる若者による外国人排斥運動が活発化し、外国人の襲撃事件や集団暴行事件が増加する傾向にあります。
私が留学していた2006年頃にも、サンクトペテルブルグで39名の外国人が殺害されたとのニュースが出ていました。サンクトペテルブルグは特に若者による外国人殺人事件が多いそうです。
なぜサンクトペテルブルグに多いのかは正直わかりませんが、ロシアには経済格差が年々広まり、若者の失業率が高くなっています。いつまでたっても貧困から抜け出せない人たちもいます。
一方、中央アジアやアジアからは出稼ぎ労働者や移民が増え、低賃金で労働力を提供しています。この移民の人たちには何の罪もなく、失業の直接的原因ではありませんが、ロシアに限らず、政治への不満が外国人に向かうことはよくあります。このロシア経済の不安定な状態が、ネオナチを生み出しているのだと思います。
多民族国家として差別が偏見がなくなることを期待
最初に書いた通り、ロシアは多民族国家です。本来なら、民族どうしがお互いを尊重し合い、平和に暮らしていくことで安定した社会を築けるのですが、ロシアは逆の道に進んでいるようです。単一民族の日本人の私には理解できない複雑な事情があるにせよ、平和な世界を願うばかりです。
執筆者:Marikochkaペンネーム
自己紹介 :子供の頃から外国に興味があり、海外への短期・長期の留学を経て、今では英語とロシア語を使ってお仕事をしています。今も”海外”というワードには過剰反応してしまいます(笑)