気が付けばもう3月も下旬。「equinoccio de primavera(春分の日)」が過ぎれば、「冬時間」から時計を1時間進めて「夏時間」がスタート!アンダルシアの冬は比較的しのぎやすいと思われがちですが…天候に振り回された越冬でした。
雨降って地汚れる
湿度が低く、降水量の少ないイベリア半島。南部のアンダルシアは日差しの強さも手伝って、水不足に通年悩まされるほど。真夏にでもなれば、長い物干しロープの端から端まで洗濯物をさげると…初めに干した服がもう乾いていることすらあります。
久しぶりに雨が降ると、にぎやかな雨音やノスタルジックな黒雲に気分が上がってしまい、土砂降りの中に飛び出してしまいたくなるのですが…これはお勧めできません。
清らかに天から降り注ぐ日本の雨とは違い、何週間も大気中の塵を溜めに溜め込んだスペインの雨は、ずばり「泥水」です。取り込みそびれた洗濯物は黄色っぽく、服はカラートンがダークにかわり、野外に駐車していた白い車はゴールドだかシルバーだか名付け難い色に…。
雨音は室内で楽しみ、どんどん汚れていく窓をぼんやりと眺めて過ごすのがアンダルシアスタイルです。
風は吹き放題
この冬一番の災害といえば、2月の強風。何も建物がない平地が広大に続いていると、風力はいくらでもアップしてしまうのでしょうか…。
あれは土曜日の朝方。吹き抜けた強い風に「春一番か!?」と浮かれたのも束の間、正午を過ぎるころには家から出られないほどの強風が吹き続け、「村中が停電」「インターネットが使用できず」「老木が倒れて飛ばされた」…飛んだ、割れた、止まった、切れた、結婚式の禁句が次々と吹き荒れた週末でした。
翌日には、近くの街で死亡者まで出ていたことも発覚。生活を脅かすこともある一方で、風力発電はアンダルシアの大切なエネルギー源でもあります。「人間は万物の霊長」とは言われていますが、あくまで自然に生かされているのだと思い知らされました。
やっぱり冬は寒い!
アンダルシアに引っ越してもうすぐ1年。日本の様子を伝えてくれる友達や家族からのメールや手紙は、心のビタミン剤のようなもの。
まさに「家書万金」なのですが…「スペインは暖かいから冬でも楽なんでしょう?」「東京は雪で大変なのに…そっちは冬でも半袖?」などなど、南欧の太陽に尾ひれがついて「冬でも暖かい説」をまことしやかにゴリ押しするメッセージの多い冬でした。
アンダルシアだって冬は寒いです!雪こそ降りませんが、朝晩の冷え込みにガチガチいうこともあります。
しかも、日本のように寒冷対策がしっかりできていない田舎の家屋なので、暖炉1台で一冬頑張らなくてはいけませんでした。散歩の度に目を皿のようにして、めぼしい木の枝を拾う…地味な努力が必要です。
よりによって2月末のカーニバル当日は、この冬一番の冷え込み。リオデジャネイロとは比べ物にならない小さな規模ですが、優勝者25ユーロ(3000円程度)という現実的な目標に向かって、凍てつく寒空の下で全力で踊る村人たち…。これが北半球のカーニバルの現実なのです。
地震がないのが大きな違い
気候面で日本と一番違うのは、やはり「地震がほとんどない」という点でしょう。
人生で一度も地震を経験しないスペイン人もいるほどです。建物の耐震性がほとんどなく、石造りで高い建物を作ってしまうスペイン。ひとたび地震がおこると、比較的震度の低いものでも大惨事になってしまうこともあります。
どんな土地に住んでいても、やはり非常道具などの備えをしっかりしておきたいものです。