人口200人の国境の村で…何気ない日常にスパイスが効く瞬間といえば「cumpleaños(誕生日)」!今日はSuegro(義父)の誕生日にちなんで…私が見たアンダルシアの田舎の結婚事情を紹介させてください。
国際結婚、でも超近距離恋愛!
川を挟んでこちらがスペイン、あちらがポルトガルの地理条件を生かして…義父母は距離にしてわずか200メートルの国際結婚をしました。40年以上昔の話ですが、大恋愛だったそうです。(このエピソードを、私はあと何回聞かされるのでしょうか…。)
義父はポルトガル人ですが、実は誕生日が2つあります。今日は本当に生まれた日、そして1か月後の日付で「公式の誕生日」と呼んでいるものがあり、身分証明書や出生届は公式の誕生日付けになっています。
これはキリスト教が厳格だった時代のポルトガルならではの事情によるもの。当時は「生まれたら1か月以内に洗礼をする」という法律があったそうです。
親族が忙しくてどうしても1か月以内にできないため、開き直ったお母さんが「そうだ、出生届の日付をずらせばいいのよ!」とひらめき…70年経った今も誕生日2回の男はまだまだ健在なのです。
事実婚で充実のファミリーライフ
お年寄りが多い村で若い家族が少ない割には、比較的子供の数は多く感じられます。幼稚園から中学校まで全生徒を合わせて30人弱。兄弟姉妹も多く、新しい世代も続々と誕生しています。
定住して一年経った今、だんだん聞き知ったのは…かなり多くのご家庭が入籍していないということ。てっきり3人兄弟だと思っていたら、全員違うお父さんだったり、お母さんも違う兄弟だけれど一緒に住むうちになぜか顔が似てきたり…事実婚でのびのびと子供を育てる若い家族が増えています。
一緒に協力しながら快適に住むことができるのならば、入籍してもしなくても家族。また、家族でなくても、隣近所、同じ村のメンバー同士で苦楽を分かち合うのは当然…そんなアンダルシアのおおらかさ、逞しさを垣間見て心が温まります。
とはいえ、やはりご年配の村人は少々保守的なようです。村長選挙に立候補していた事実婚のパパさんは、選挙活動を始めるやいなや「入籍・村の教会で大々的に挙式」というパフォーマンスをし、見事当選しました。この臨機応変さも…やっぱりアンダルシア!
離婚と親権
そもそも入籍していないカップルが多いので、離婚率も低いわけですが…入籍していた親同士の離婚でも、事実婚の場合でも、子供がいる場合はあまり変わりはなく複雑なようです。
特別な事情が無い限りはどちらの親も均等に親権を持ちます。そのため、学校のある時期は母親の家、週末と長い休みには父親の家…と、ダブルライフをするお子さんもいるわけです。
成人するまでの一時期ではありますが、距離が離れていればなおさら気になるのは、車の「ガソリン代」。
また、ちゃんと両親に会っているのか確認するために、移動の度に裁判所を通らなくてはならなかったりと…子供が成人になるまで、両保護者はかなりタフなカーライフをおくることになります。
とはいえ、子供の方は「お誕生日やクリスマスのプレゼントを2倍もらえる!」と喜んでいることもありました。
生き方も色々、家族の在り方も色々な21世紀真っ只中。なかなか将来の世界を明るく思い描けないようなニュースも多い時代ですが…どんな環境でも糧にして子供は育つものなのでしょう。
人間が本当は持っているそんな生命力を…アンダルシアはまだまだ忘れていないようです。