在住者から見た現実、世界一を誇りにするアメリカの貧困化する社会

私がまだ学生だった頃は、”アメリカ”と言うと個人主義・自由を尊重する、努力すれば、誰でも社会で成功する可能性を実現できる地といった前向きな考えが一般的だったことを覚えています。

もちろん、今現在であっても、世界各地、特に中国やインドなどのアジア各地から、上級教育を求めてアメリカの大学への進学を求める人々は尽きないのが現実です。

曖昧ではあったもの、私自身もこの広大な地で個人の自由と社会人としての成功を望んで渡米した訳ですが、アメリカの一般的な家庭で子供を育てて生活をしていく中で、特に2008年の景気後退後に目立ってきた社会問題を目前に無意識にいることは、自分勝手な行為と感じるのが現状です。

その一つに、小中学校・高等学校の教育問題から、アメリカのクラス階級の中流階級の消滅化に関連した貧困化する市民とそれらを引き起こす社会問題に、私、アメリカに住む日本人としての視点から取り上げてみました。

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チャリティー精神溢れるアメリカでの公共福祉への寄付、フード・ドライブ{(Food Drive)貧困者への食物寄付}

世界一を誇りにするアメリカの貧困化する社会

アメリカに生活し始めて、”日本と違う。”と気付いたことの一つにアメリカどこにいても、貧困者への救済活動が頻繁なことでした。

公共福祉のための寄付・寄贈のイベント、チャリティーは一年中、宗教施設に限らず盛んですし、11月の感謝祭(Thanksgiving)や年末のクリスマス時期が近づいてくると、フード・ドライブのイベントが学校内や職場でも盛んになります。

もちろん、全ての寄付金・寄贈物がアメリカ国民宛ではなく、多数のイベントは海外での貧困問題や自然災害救済として国外へ寄付されていますが、私の気になったのはアメリカ国民宛の寄付も一般的なことです。

例えば、私の住む市(町といってもよいほど田舎の市です。)は市内の人口5000人にも及ばない数ですが、食物配給を毎週や毎月と行っている団体は、教会も含めて1,2団体には留まりません。

子供たちへの救済処置

アメリカ、子供たちの貧困と救済措置

私の子供が通う学校でも感謝祭を祝う11月になると、地域内でのフード・ドライブが始まりますし、クリスマス時期に子供たちにプレゼントを用意出来ない家庭を援助するために、その家庭に住む子供たちのクリスマス・リストを受け入れて”サンタクロース”になりプレゼントを購入してあげるボランティアの活動も行われます。

また、10月中旬から12月に渡っては全国的にトイズ・フォ・トット(Toys For Tots)と呼ばれる、これもまた生活に苦しむ家庭の子供たちへのクリスマスプレゼントへの寄付・寄金を求めるイベントも始まり、スーパーマーケットや各種の店頭でも回収用のボックスが設置されます。

そして、12月には大手のスーパーマーケットやデパートの店頭で赤色のケトル(大きな貯金缶のようなもの)を下げ、ベルを鳴らして募金活動を行う慈善宗教団体のサルベイション・アーミー(Salvation Army)の活動も盛んになってきます。

これらの募金・寄贈品活動は地域内での貧困層宛に援助されます。

住んでいる地域にもよりますが、年代に関わらず、日々の生活に縛られるような思いで過ごしているアメリカ国民は以外にも多いことに気がつきます。

全国的な貧困層

アメリカ、貧困層

アメリカでの全国的な貧困層を人口統計学的に大まかにまとめて見ると、アフリカ系アメリカ人が最も割合として高く、その次にヒスパニック系アメリカ人が高い割合を占めています。白人アメリカ人の貧困率は都市郊外地域ではより高くなっています。性別的には女性で片親として家庭を支えている者のほうが、男性で同様な立場にいる者より、貧困に悩む割合が高くあります。

これは、人種や性別の不平等性に世代を越えて立ち向ってきた歴史があるにも関わらず、各職分野での雇用状況や給与などの平等に欠陥があること、今現在でも、ある系統のアメリカ人や階級層、性別により、彼らの生活向上を成し遂げるのに困難を及ぶこと、時には不可能でもあることが現実であることに気付かれされます。

私の住む地域での貧困層

アメリカ、ミネソタ州の貧困と犯罪

ミネソタ州の大都市は双子の都市(Twin Cities)ともあるようにミネアポリス市(Minneapolis)とセイント・ポール市(St.Paul)が隣合わせにある都市です。この2都市でも他の大都市に見られる、都市周辺を囲む貧困した人口が密集した地域があります。

州立大学や数々の私立大学も多く、コンサートホールや美術館、ショッピングモールなどが溢れ、訪れる人々は絶たない都市ですが、ミネソタ人にはメトロ北部(North Metro)は一般的に好まれない地域として、犯罪発生率の高い地域としても知られています。

この地域では、生活に困る家庭を持つ生徒が多く、ある公立学校では毎週金曜日に貧困に悩む生徒にバックパックに詰められるほどの食料品を持たせて帰宅させる福祉制度があると言います。

生徒が登校する月曜日から金曜日は学校内での朝食・昼食を無料で食べれますが、週末の間、家庭での食事を取れない生徒が多い現状に対応して活動ということです。そのために、その地域周辺に住む住民や職場に通勤する人々はフード・ドライブをしていることを聞いたことがあります。

アメリカインディアン人の貧困率も高い

アメリカインディアン人の貧困も問題

私の住む地域(郡)では、北部にアメリカンインディアンの特別保留地があることもあって(郡人口の5%を占めるアメリカンインディアン人も貧困率が高いことで知られています。)、郡全域の貧困率は郡人口約26000人の15%から20%範囲に当たる3900~5200人とあります。

アメリカ南部地域での貧困率(高い地域では人口の半分が貧困層に当たる)に比べると低い割合ですが、大まかな統計で人口(郡人口の約95%はヨーロッパ系のアメリカ白人で、アジア系アメリカ人とアフリカ系アメリカ人は各系統1%にも及ばない)の5人に1人が貧困層と考えると驚いてしまいます。

定期的に行われる食糧配給

アメリカの現実、子供たちの貧困

こういった現状を目前にするのは、私がこの地域の図書館に向かう途中です。時間帯にもよりますが、図書館へ行く途中に食料配給所があるため、時折人々が配給所からショッピング袋に詰められた缶詰やパン類を持って出入りするのを目にします。

大都市の貧困層と異なって、都市郊外地域にあたるこの地域では、ほとんどが白人アメリカ人の出入りが多いようです。幼い子供を連れて来る親も少なくなく、心が痛む時があります。

食料配給にはとどまらず、教会団体(小さな町ですが少なくとも5~6団体以上の異なる教会があります。)では定期的に、特にクリスマス時期になると無料の食事を提供するイベントが行われます。

人によってはこういった食事提供のイベントは単に食料配給目的ではなく、特に高齢者で一人暮らしをしている人々が地域の人と交流出来る場所を提供して、生活を楽しんでもらえるようにとの配慮もあると言います。

2008年の景気後退後のアメリカ生活で見た現状

2008年の景気後退以降、チャリティ

こういったチャリティー精神は北米では特に宗教的な国民の間では一般的なこと、”あなたの隣人を愛しなさい。(気遣ってあげなさい。)”と聖書にもあることを尊重しての文化習慣的なところがあるかと思います。

そうではあっても、2008年の景気後退前後から仕事を失ったり、家を失ったりと経済的に不安定な生活をせざるを得ない国民が増え、統計的にも貧困層となる国民が増加して、上記に挙げたような公共福祉への援助を求める人々も増加し、援助機関も規模拡大し、活動盛んになった現状です。

また、生活の”貧困化”は下層階級にとどまらず、アメリカン・ドリームを象徴する中級階級層でも同様に職を失い、新たに仕事に就いたもの、給与降下、社会保障制度による給付・手当は無し、夫婦共に働いていてもバブル経済で購入した新宅の住宅ローンに縛られる、保険給付は無いので、家族の誰かが医療機関でのサービスが必要となると自動車ローンが払えないことになるなどと月々の支払いに追われる思いで生活している人々もいまだにたくさんいるものです。

副業としての看護師

副業として看護師

私の知人には看護師の方が何人かいます。アメリカに住んでいて気付いたことには、看護師・看護婦の職を持っていると”給料が良い”という一般的な考えがあるようで、看護職は中流階級を代表する印象があります。

ですが、看護婦の仕事も一つの職場で今の生活を支えてはいけないと第二の看護職を持つ人、給与がいいからと幼い子供持ちの方でも夜間や週末の看護職にも就いている人もいます。

これは、看護職に限らず他各種の職業を持つ国民の多数(ミネソタ州では職を持つ州民の8.1%が1つ以上の職業に就いています。)が同様に経験している現状でもあります。

これは現代の生活スタイルですからと言われますが、私自身、親の存在・サポートを常に実感して育ってきた者として、また、子供の成長する姿を毎日見つめて、子育ての重要性を熟考している者としては経済的・物質的な貧困化にとどまらず、現代社会の要求にストレスを感じ、疲労やうつ症状など精神的にも乏しい国民が増加していることにも気にかかります。

近未来のアメリカの傾向は?

今後のアメリカの将来

アメリカでは来年2016年の大統領選挙を迎えます。候補者による選挙活動やディベートの報道などで政治的な話題は毎日やむことなく、テレビやラジオ番組でも最も注目されて報道されています。

その中でも、以上に挙げた問題も含めた多数の社会問題への疑問と効果のある対応・対策を求めて、アメリカ国民は数々の大統領候補者に対して期待・疑問を持っている今現在です。

現在活動中の政治家に疑問を持ち、政治経験の全くない人柄に期待をかけている国民や、実際の社会問題に根本的に対応する、一般市民の生活基準向上を約束する人柄をサポートしている国民、または特に中南米の国境・不法移民問題や海外からのテロリズムへの厳重な対応処置に対し、厳しい法律を求めている人柄に大きな期待を持っている国民などとアメリカ国民間での意見も複雑です。

先の見えない不安定な時期で、経済的にも国民が実感できるような景気向上は予測できない現状であるからこそ、今後の政治・政治家への期待と不安は止みません。

これからのアメリカに期待すること

近未来のアメリカ、選挙とディベート

もちろんアメリカに限らず、他の先進国でもその国の文化・習慣にも関連した社会問題は尽きないですが、あらゆる面で世界の動きをリードするアメリカの社会問題の深さと複雑さは、国籍を持たなくとも実際に生活してみると明らかになります。

世界をリードする国であるからこそ、また、将来に大きな夢を抱いている私たちの次の世代のためにも、アメリカ合衆国の憲法の序文にあるように、”国の団結、国内の平穏の保障、一般の福祉の増進、個人の自由の尊重”を実際に全国民が誇りにできるような社会に前進できるように願う毎日です。

参考サイト: