朝晩の冷え込みに秋の深まりを感じるころ、スペインは10月の終わり。さあここからは…ハロウィン、Fiesta Medieval(中世の仮装をするパーティー)、クリスマス、年越し、新年、Los Leyes magos(1月6日の三賢人イベント)、そして2月のバレンタインデーまで続くイベントの嵐です。ちびっ子も大騒ぎ!そして学校行事も大忙しのシーズンが始まります!
学校行事のリーダーはAMPA(アンパ)
日本のPTAにあたるもので、スペインでは「AMPA(Las Asociaciones de Madres y Padres de Alumnos )」があります。学校帰りの子供が手に小さな白い紙を持って来たら、おおかた「AMPAのミーティングをやります!」のお知らせです。
ミーティングは不定期に、そしていつも急に開かれます。いつもは夫に出席してもらっているのですが、「ハロウィンパーティーの打ち合わせなら簡単かな?」と見込んで…この秋、ついに私もAMPAミーティングデビュー!その実態や、いかに!?
語学力よりも声量が求められる、それがスペインのPTA総会
前日に突然ミーティング告知を受け、予定時間の夕方6時に張り切って学校に到着。ところが「ほとんど人が集まっていない」「肝心の会長もまだ来ていない」…うっすら予想していた通りの展開に。立ち話をしたり、一旦家に帰ったり、皆思い思いに時間をつぶし、結局始まったのは7時15分前でした。
日本のPTA総会にあたる集まりですが、ジャージにビーチサンダル、作業服やエプロンのまま、犬を連れての参加など、日本ではありえないようなカジュアルないで立ちです。
メインテーマの「ハロウィンパーティー」については、日時やドレスコードなど決定事項の連絡だけ。「お、楽勝!」とほくそえんだのも束の間、「放課後のアクティビティークラスを開催するか」という予定外の議題が上がり、会場は瞬く間に「本気で自己主張をしあうネイティブスペイン語のカオス」に…。
「そんなアクティビティー必要ない!」「いや、やったほうがいい。他の村もみんなやっている!」「誰も何も教えられない!」「誰も何もやりたくない!」「でもやったほうがいい!」「AMPAの会費で先生を雇うのか!」「会費を払っていない人がいる!」「誰だ!」…脱線を繰り返しながら収集のつかない会話が続くこと約30分。
しかも「誰かが話している途中でもかまわず話し始める」を全員が全力で決行。しまいには会長の鶴の一声「¡¡¡Siiileeenciiiooo!!!(しずかにしてくださーい!)」。小学校低学年の学級会を彷彿とさせる、実に懐かしい光景でした。
私も頑張って「よ…よろしければ、日本語のクラスでもやりますか!?」と何度か叫んだのですが、誰にも聞こえませんでした。結局「会長判断で決定事項を後日お知らせします」という平和的な顛末に落ち着きましたので、ご心配なく!
いまどきAMPA御用達「ワサッ」とはっ?
30分の怒涛の意見交換は一体何だったのか…約束の後日報告はワッツアップ(SNSの”WhatsApp”)で「水曜日の放課後にダンス教室決定!」とアッサリ告知されました。このワッツアップ、入学手続きの時に「AMPAの連絡事項は”ワサッ”で通達することが多い」と言われ、あわてて登録したものです。
地元人は「ワッツアップ」ではなく「ワサッ」と発音するため、初めは何の話か分からず「はっ?ワサッ?ワサッ?」と何度も聞き返したものでした。ワサッで流れてくる情報は、AMPAのイベントだけに限らず、誰かのお誕生日、魚屋が村に来る日程、大雨が降るらしいという情報などなど、かゆいところに手が届くものばかり。スペイン人らしくスペイン生活をこなすためにはありがたい存在です。
AMPAの会長は半年に一度交代します。今の会長さんはスペイン滞在20年のイギリス人のお母さん。スペイン語も流暢で細かいところに気を配ってくれる人柄も素晴らしいのですが、いつもはジャンケンで負けた人が担当する会長の係を、「今回は私がやりますっ!」と自ら挙手して引き受けてくれたというツワモノ。いつの日か私も…こんなかっこいいAMPA会長を目指して、イベントシーズンを駆け抜けます!