今回は台湾で話されている言語について、少し考えてみたいと思います。
MRTの車内放送で使われている言語
MRTの車内放送で使われている言語を説明する前に、MRTとは何かを説明致します。MRTとはMass Rapid Transitの略で電車と思ったらいいと思います。台北の街で走っているモノレールのような地下鉄のようなものです。台湾の人は「捷運(ジェーユン)」と呼んでいます。
この電車の中での「次は台北駅です」のアナウンスを聞いていると、台湾で使われている言語が分かります。
北京語
↓
福建語
↓
客家語
↓
英語
の順番で駅名が流れます。同じ地名が全く違う発音のことがあり、ちょっとびっくりします。
3つの言語はどんな言語?
最初の北京語は学校で習う言語です。国語、普通語、漢語などと呼ばれます。中国大陸と基本的に同じですが、文字においては簡体字と繁体字の違いがあり、発音ではアル化音という巻き舌が台湾にはありません。「在哪儿」が「在哪里」になります。
福建語は福建省の方言で、閩南語(びんなんご)と呼ばれます。台湾で話されている福建語は、福建語の南部方言で、一般的に台湾語と呼ばれるのは福建語です。
客家語は、客家(ハッカ)の人たちの言語です。客家(ハッカ)は「中国のユダヤ人」と呼ばれる優秀な移民集団です。
- 孫文
- 鄧小平
- リー・クアンユー
- 李登輝
- 侯孝賢(映画監督ホーシャオシェン)
- タクシン・インラック兄妹
などが有名な客家人ですので、覚えておくと役に立つでしょう。
台湾語を話す日本人はほとんどいない?
北京語には四声という声調があるけれど、台湾語は八声があり、むずかしいので、日本人で話す人はほとんどいません。
ずいぶん昔のことですが、私の友人のゴルフ場でのできごとです。日本人同志でゴルフに行ったときのことです。日本人4人に対して、4人の台湾人キャディがついたのですが、キャディたちがそれぞれのお客に賭けていることが分かったのです。
私の友人はOBを打ってしまいました。すると私のキャディが「へたくそだなあ!賭けているのだから頑張ってよ!」と小さい声で話しています。
彼は『私に賭けているの? 私はうまくないから勝てないよ』と台湾語で言ったのです。
びっくりした彼女たちは、たちまち大人しくなりました。
「キャディの彼女たちはプロを目指している人たちだから、ぼくらのへたなゴルフを見るのはつらかったと思うよ」とは友人の言葉です。
というわけで、日本人で台湾語を話す人は少ないものです。
最後に
2015年は戦後70年。台湾で日本語を学んだ世代は70代後半になってきました。もちろん若い世代で日本語学習は盛んです。でもできれば台湾に住む以上は北京語の勉強をしたいものです。
執筆者:姉崎慶三郎