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インドネシア、「神々の住む島」バリ島の宗教と人々の暮らし

インドネシア

日本からの観光客にも人気のインドネシア、バリ島は、「神々の住む島」とも言われるほど、宗教信仰の厚いところです。インドネシアとバリの宗教事情や、人々と宗教との密接なかかわり合いについて紹介します。

インドネシアとバリ島の宗教事情

インドネシアではイスラム教・プロテスタント・カトリック・仏教・ヒンドゥ教が政府から認められています。インドネシア全体ではイスラム教が9割を占めますが、バリではバリヒンドゥ教が9割を占めています。そして人々の日常生活や生活習慣のほとんどがバリヒンドゥ教と密接に関係しているのです。

バリヒンドゥ教とはインド仏教とヒンドゥ教が合わさったバリ土着の信仰でインドヒンドゥ教とはまた異なる性質を持っています。

バリ島に長期滞在、移住しようと思っている方のみならず観光で来る方もバリ島の習慣は宗教上のものが多いので無礼のないよう覚えておかなければいけません。

気をつけなければならないこと

左手は不浄のものとされています。ですから物の受け渡しや握手は左手でしてはいけません。左利きの人も食事の時には右手を使います。

日本では「いいこね〜。」と頭を撫でてあげるのが愛情表現のひとつですが、バリヒンドゥ教では頭には精霊が宿っているとされているので可愛いからといって子供の頭を撫でるのはだめなのです。同じ理由でパンツやズボン、靴など下半身に身に着けるものは頭上より上に干してはいけません。

寺院や家のお寺に入る時は肌が露出している短パンやノースリブの服は禁止されています。必ずサロンという布を巻いてお参りするようになります。観光名所ではこのサロンが用意されているので必ず巻いて入るようにしましょう。それと女性は生理の時には寺院には入れません。血は不浄のものという理由からです。

村のお寺の祭事の時には必ず身体を洗い流し、正装して参加しなければなりません。

毎日の習慣

毎朝、椰子の葉っぱを器にして炊き上がった白いご飯を上に乗せて家の中と外にお供えをします。その数は錚々(そうそう)たるものです。我が家でも30箇所にお供えしていきます。あらゆるところの神様にお供えしているわけです。

その後、人が食事にできますが、バリの食事は、各自が好きな時間に、お皿に白いご飯といろいろなおかずをひとつのお皿に乗せていただくんです。家族揃って「いただきまーす」なーんてのはありません。

その食事も朝一度作ったらそれを1日食べます。だから、一人がたくさん取っちゃうと夜にはおかずがなくなっちゃう…ってこともたまにあるんですよね。(笑)そんな時のためにどこでも近所のお店で簡単なおかずを夕方から売り出しています。

そして、お昼前や夕方になると今度はチャナンと呼ばれる色とりどりのお花を入れたお供えをまた数十箇所お供えしていきます。このチャナンは各家庭で毎日毎日作ります。これが主婦の仕事のひとつでもあるんです。

毎日ではないんですが、月に4度、満月と新月の日とカジャンクリオンという神様の日にはバンタンという特別なお供えをします。満月と新月には子供達は学校にもバリヒンドゥ教の正装で登校するんですよ。

特別な日

バリの日々は西暦(太陽暦)ではなくサカ暦とウク暦という独自のカレンダーで回っています。その中でバリ人だけでなく長期滞在者や移住者、観光客も関係する特別な日があります。

ニュピ(Nyepi)

バリヒンドゥ教の新年で、毎年3〜4月頃にあります。サカ暦によるものなので西暦では日にちが変動するんですよね。朝の6時から翌日の朝6時まで続き、この日は火も明かりも灯してはいけません。観光客であろうとも一切敷地内から外に出ることはできないのでこの日一日は静寂そのものです。もちろん国際空港であろうともこのニュピの日は旅客機の発着は禁止なんです。

前日は大晦日にあたり、オゴオゴという悪霊をかたどった手作りの山車が村中を練り歩きます。これはもう圧巻で、みんなお祭り騒ぎ。一見する価値おおありです。

ガルンガン(Galungan)


日本で言うところのお盆のような日です。ガルンガン前にはペンジョールと呼ばれる竹や椰子の葉で作ったのぼりのようなものを各家庭で作って家の外に立てます。

ガルンガン当日と翌日は学校も役所もお休みになります。観光客のためのショップも朝は店員さんがお寺にお祈りに行くために閉まっているところが多いですね。

クニンガン(Kuningan)

 
ガルンガンの10日後にあり、日本で言うところの送り盆のようなものです。この日も公共施設はお休みになります。

宗教と密接した日常

ざっとですが、人々の宗教と密接した日常をご紹介しました。本当はこれだけではまだまだ序の口ってところなんです(笑)。人々の生活はバリヒンドゥ教の上に成り立っていると言っても過言じゃありません。

人々の名前もそうなんです。バリヒンドゥ教にはカースト制度があって階級によって名前が異なります。しかし、インドヒンドゥ教のような厳しい戒律も職業差別も人種差別もないゆるーい制度なんですよね。

カーストの上下など関係なく寺院を中心としたデサ(村)やバンジャール(村の中の自治体)の共同体での相互扶助の方が大事なこととされているバリヒンドゥ教なのです。

執筆者:harudai(ペンネーム)

プロフィール:国際結婚で2000年からインドネシアバリ島に住んでいる主婦兼二児の母。「郷に入っては郷に従え」精神でご近所の方々に助けてもらいながらの日々の生活。今だ近所のおばちゃんたちから学ぶこと多し。

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