上司になれば嫌でも部下を“叱る”という行為が必要になる場合があるものです。
ただ叱り方を間違えると、叱られたほうはやる気をなくしたり、人間関係が悪化してしまったりする可能性があります。そこには信頼関係というものが欠かせないのです。
なかでも近年の企業のグローバル化によって外国人スタッフの部下がいる場合、叱り方に特に注意が必要です。そこで今回は外国人スタッフを頭ごなしに叱ってはいけない理由についてまとめました。
頭ごなしに叱ってはいけない理由
「頭ごなし」とは、相手の言い分に一切耳を傾けることなく一方的に決めつけるということです。会社の中には「なぜこんなこともできないんだ!」とか「君はいつも○○しかできないね」などの叱り方をする上司、いませんか?
このような叱り方をされると外国人でなくても腹立たしく感じるものですが、外国人スタッフからは尊敬されなくなってしまいます。
“頭ごなし”は本当に正確か?
頭ごなしに叱る時、叱るほうは一方的に決めつけて叱っていることになります。本当にそれは正確な事実なのでしょうか?
特に外国人スタッフに対して叱る時は文化的背景・言語などの違いで、ちょっとした誤解などが生じているかもしれません。外国人スタッフが、自分が指示した通りにしていない場合でも、うまくコミュニケーションが取れていなかっただけなのかもしれません。
まずは相手の言い分をよく聞くことが大切です。
“頭ごなし”は人格の否定
「こんなこともできないなんて、役に立たないやつだ!」とか「君はいつもこうだ!」といった頭ごなしの叱り方は、悪かった点についての具体的な指摘がないばかりか、相手の存在を否定する言い方です。
それに対して欧米など海外では、親は子どもの頃から人権を尊重し叱る時にも子供の意見を聞き、なぜそれがいけないことなのかをしっかりと説明します。
このような環境で育った外国人スタッフに対して“頭ごなし”に叱りつけるなら「自分の存在そのものが否定された」と思われ、「こんなところでは仕事ができない」と判断されてしまう可能性があります。
“頭ごなし”は納得できない
日本人のように幼い時から集団に従って行動したり、上から言われることを受動的に受け入れることに慣れている国民性とは異なり、個人主義の外国人スタッフは「なぜ叱られているのか」「どこが悪いのか」などの理由を聞かなければ納得できません。
ですから理由も聞かずに頭ごなしに叱られても納得できるはずもありませんね。そこで、外国人スタッフを叱る時には「なぜ叱っているのか」「どのようにするほうが良かったのか」という理由を論理的に説明する必要があります。
さらに「そのまま続けていたらどのような結果になったか?」を提示して、叱られている理由が納得できるようにしましょう。
“頭ごなし”には“承認”がない
海外で働くと、企業の中で上司が部下を褒める場面が非常に多くあります。なぜなら上司が部下をしっかりと評価し認めているんだということをキチンと伝えることが一般的だからです。
その点、日本では上司は部下の問題点を伝えることはしても、あまり褒めるということが少ないようです。なかには「仕事をして当たり前」という見方さえあります。
そんな中で“頭ごなし”に叱るなら、外国人スタッフにとって「自分の働きがきちんと評価されていない」と感じさせ、「自分は会社に必要とされていないのではないか」と思わせてしまいます。
“頭ごなし”には改善がない
仮に、頭ごなしに叱って部下が謝ったとしましょう。そこからは今後に向けて何の改善策もありません。これでは同じことが再度繰り返されるかもしれません。
叱る時には謝罪だけが目的ではなく、「今後どのようにすればいいか」ということを外国人スタッフが理解できるように助けることが必要です。
このときにも上司が「今度はこうしたほうがいい」と指示をするよりも、「どうすれば改善できると思う?」と外国人スタッフに考えてもらうようにすることで、今後のモチベーションアップにつながるでしょう。
真摯に向き合う姿勢が必要
「叱る」という行為は誰にとっても難しいものです。それでも何らかの問題があるのにそれを放置しておくのは、上司としてふさわしくありません。
相手が日本人スタッフであっても外国人スタッフでも同じことです。近年では「ゆとり世代」になって、同じ日本人でも従来のような頭ごなしの叱り方は受け入れられなくなってきましたが、相手が外国人スタッフの場合なおさら通用しません。
外国人スタッフは幼い頃から個人の尊厳が尊重されてきた背景もあって、“スタッフとして認められていること”“何が悪かったのか納得できること”がしっかりと伝わらなくてはいけないのです。
また、相手の尊厳を尊重し人の目のないところで個別に叱るように配慮も必要です。こうしてスタッフ一人一人と真摯に向き合うことによって部下からの信頼を築き上げていきたいですね!
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